亡くなられた未来ある若人のご冥福をお祈りいたします。
北海道福島町の大千軒岳にて2023年10月29日および10月31日に起きた人身事故についてネット上では誤解や曲解が起きているため、ここに訂正させていただきます(これから配信を考えているYouTuberの方はぜひ参考にしてください。また、固定コメントに順次判明したことを追記していきます)。
音声収録は11月4日(動画編集最終日は9日)ですので投稿するときには専門家の現地調査により、あらたな事実が判明しているかもしれません。
動画内で話していることはあくまでも11月4日時点での推測です。
2023年11月13日追記:現場詳細図です。参考にどうぞ。
https://www.youtube.com/@user-vd7po3wh7t/community
↓参考になる実際の大千軒岳登山道の様子↓
登山のYouTuberりょーじさんの動画です。りょーじさんは日本中の山を登られており、北海道の山もかなり登られています(200~300名山をいくつも登っている)。りょーじさんは熊対策をしっかりとしており、登山者の見本のような方ですがヒグマの専門家ではないのでヒグマについてコメントするのはお控えになり、疑問があれば僕のこの動画のコメント欄にお書きください。
↓動画内で紹介している動画↓
『野性のヒグマに襲われる!分水嶺~』
問題として取り上げている対比用の動画はこちら(動画説明欄、固定コメント欄にも記載)。
撮影者らは熊対策の携行品も持たず(使用せず)、タヌキを助ける、撮影で近づくなど最初から対応の仕方が間違いだらけでした。問題個体を生む恐れが非常に高い行為でもあり、ヒグマの人慣れを起こすとても危険な行為でした(追い払いで投石をするのは間違いではありません)。
さらにここは今回の人身事故が起きた場所と同じく、道南です。
ピンポイントで同じ場所ですので偶然とは思えません。1年前に同じ道南の山でこのようなふるまいをする人間がいて、ヒグマと接していた、人慣れ個体を生む恐れのある対応をしていたのは映像に残っている通り事実です。
このときのブログ記事もありましたので気になる方はご覧ください。
ご自身が動画の中で頓珍漢な対応をしているのに「ヒグマが鉄砲で撃ち殺された」などと書いて…このときの1歳8か月のヒグマが人の姿を見慣れるようになっていたら?ヒグマが登山者の行きかう登山道付近に居着くというのは確率的に考えれば稀なケースです(登山道上におけるヒグマによる人身死亡事故は実に53年ぶり)。因果関係を突き止めることは出来ませんが、道南地域で”こういうことをしている人もいる”という認識で登山者の方々は十分に熊対策をしたのち、山に登るようにしてください(僕は撮影者らには「本当に自然の生態のことを考えているのならヒグマに近づくな」と言いたいです)。
『熊スプレー(防御姿勢について)』
熊スプレーは高いかもしれませんが、登山者仲間内などでお金を出し合って購入するなどしてなるべく多くの方に携行していただきたいと思います。今回の件では熊スプレーを携行し、使用がされていれば死者が出ることはなかったと考えていいです。値段が高いことを理由に難癖つけて持たない理由を並べる方がいますがそれは大きな間違いです。問題個体であっても忌避、撃退できることが分かっており、その有効性は刃物類を上回ります。
『登山道上でのヒグマ人身事故について注意喚起している動画』
『爆竹について』
動画説明欄に書いていますが、登山道上での爆竹の使用は誰かを助けるために使うのなら有効です。今回の消防隊員の爆竹使用は他に仲間の登山者がおり、使用は正解でした(通常の個体なら忌避、撃退できていた)。さすがは危機管理能力の問われる仕事をしている方たちだなと思いました。
・すずしんが熊対策の1つとして鉈ではなく、ナイフを携行する理由
渓流釣りで山に入り始めた1~2年目は熊対策に鉈を携行していましたが、重くて取り回しが難しいと感じたことと、その刃渡りの長さから自分の太ももを傷つけてしまったことがあり、過去のヒグマ撃退記録から刺突に向いており、取り回しも良いナイフ刃渡り10cmを携行するようになりました。
昔の話ですが、北海道平取のアイヌ酋長ペンリウクは短刀を使ってヒグマを狩猟していました。
その方法はヒグマの後ろ、風下から静かに近づき、十分近づいたらヒグマに気づかせて立ち上がらせ、その瞬間に脱兎のごとくヒグマの懐に入り、抱きついて心臓、お腹から胸に向かって刺すというものでした。
刺したまま、しばらく抱きつき、離れずにヒグマの力が弱るまで密着したまま相撲を取ります。
密着するように抱きついているとヒグマの腕は構造上、自分の胸の方、つまりは内側に強く力を加えられないため十分に攻撃することができないのを利用した戦法です。
これは漫画、ゴールデンカムイでも連載最初で描写がされていました(頭が齧られないようにヒグマの顎下、首に頭を押し付けるようにします)。
ヒグマの力が弱まったときに素早く転がるように離れます。するとヒグマはしばらくして失血死します。
ペンリウクはこの原始的な猟法で生涯、ヒグマを何十頭も仕留めています。
先の尖っていない鉈でヒグマを撃退することは出来ますが、倒すことはできません。刃渡り8cm以上のナイフであれば上記の方法でヒグマを倒すことができます(心臓や太い血管に届く)。
ヒグマに抱きつくのは恐ろしいと思いますが、接近戦においてこれがもっとも生存確率の上がる戦法、抗い方ですので熊スプレーを持たず、刺突に向いたナイフを撃退道具として持っている方はぜひ、覚えておいてください(熊スプレー持った方が生存確率は上がりますが)。
鉈である場合はヒグマの目鼻を目がけて叩き切るようにしてください。過去の撃退例からこれは高い確率で撃退ができ、有効であることが分かっています。
※自分はヒグマを銃猟で追うハンターです。
・熊鈴および熊対策の道具について
本動画だけを観ると熊鈴万能説を謳っているかのように勘違いする方が出そうですが、そうではありません。沢音で効果が薄れるという話もしていますし、熊鈴のデメリットについても『熊鈴効果あるのかないのか論争』の動画でお話ししています。
熊鈴の最大にして最後の効果についてを知らずに誤解して外している方、懐疑的な方がいるため、それらを訂正する意味で重ねてお話ししている次第です。
今一度、一般的な熊対策を徹底してもらいたいと思います。
基本は誰が使っても一定の効果が得られる熊鈴を携行し、見通しや音の通りが悪いと思う場所での笛、熊鈴が鳴らないときのためのラジオ(災害時にも使えます。またはスマホ音楽(風情がないかもしれないが))、または獣除けの線香などを携行、使用し、
さらにそこに忌避および撃退効果のある爆竹(他の登山者が多い登山道上では推奨されないが、今回のように登山者が少ない山で撃退のためには積極的に使用するべき)、大音量の出るベアホーン(大声しかり大音量には一定の忌避、撃退効果があります)、北海道では現在100%の忌避、撃退効果を示している熊スプレー(高価だが、ヒグマがどのような状態であっても使用した場合、北海道では現在、100%忌避、撃退ができている)、
そして鉈やナイフなどの刃物類を携行するようにしてください。遭難時、緊急時などに小さくても良いのでナイフは必要です。鉈は扱いに長けた人のみ推奨します。普段、薪割やブッシュクラフトで使っている方などです(剣鉈であると刺突も兼ねることが出来るのでなお良いですが登山道上では怖がられるかもしれません。ただし、ヒグマが多い地域で所持することは熊対策の一環として問題ありません)。
・万が一、問題個体に出遭ったら
このような個体に遭うのは2000~3000件に1件の低い確率ですが、万が一出遭った、そうと思われる個体に遭った場合は執拗に付きまといをしてくるか、人間を追い払うために向かってきて、攻撃をしてくるので撃退します。
~熊スプレーがある場合~
ヒグマと出遭った時点で熊スプレーをホルスターから抜いて安全装置を外して構えます。ヒグマが3m以内に入ったら目鼻をめがけて1~2秒噴射してください。ブラフチャージでもそうでなくても非常に高い確率で忌避、撃退できます。
~熊スプレーがない場合~
爆竹が間に合うようであれば使用、ベアホーンがあれば使用、なければ大声をかけて万歳し、こちらの姿を大きく見せ、刃物類があれば手に持ちます。
上記がすべて間に合わず、ヒグマが突進してきている場合、ブラフチャージを仕掛けてきただけの場合もあるので1~3m以内に入るまでは何もしないで目をにらみ続けます(自分はこれを一番推奨します。ブラフだけの場合もあるので刺激をしたくないため)。
ブラフチャージであった場合はそれで反転するか直前で止まって地面を強く叩く行為をします。地面を強く叩く行為をした場合、ブラフの証拠です。
ヒグマの目を見続けていると、しびれを切らしてヒグマの方が立ち去ることがほとんどですが、ヒグマの方もにらみつけられていると逃げようにも逃げられないため、しばらく動かないようなら、わずかに目線を外してあげましょう。
その瞬間にヒグマは立ち去ります(記憶が確かなら二風谷アイヌの狩人の撃退?やりすごす方法です。基本的に争いを好まず、積極的に衝突したいわけではないヒグマの習性を利用したものです)。
ブラフでなければ?
攻撃を受ける寸前、刃物類で応戦します。鉈であれば狙うのは目鼻で、叩き切ります。ナイフを持っている場合、抱きついて心臓を刺すのが不可能そうであれば鉈と同じく目鼻に突き立てるように刺します(切りつけるのではなく突き立てる)。
それで撃退できる確率が過去のヒグマとの接触事故の事例から高いことが分かっています。
5cmのナイフで今回、ヒグマを倒せたのは運も多少なりともありますが攻撃をされている最中にとっさに見えている急所を狙えたという類稀な格闘センスがあります。
生き物と闘った経験がある方なら分かりますが、これは運が良かったからではなく、消防隊員のとっさの判断力が優れていたからです。爆竹をすぐさま使えたことといい、身体を即座に動かす訓練を受けている方々ならではの行動力の高さであり、称賛に値するべきことです。また、これによって亡くなられた20代大学生(北大生)の発見が早まったことも考慮し、ヒグマを結果的に殺してしまったことに関して抗議するようなことはお控え下さればと思います。
刃物類もない場合、抜けない場合はヒグマの鼻をめい一杯蹴り上げるか、それが出来なければ防御姿勢を取るしかありません。
ヒグマが問題個体であれば助かる確率は低いですが、これで軽傷~重症の範囲で助かっている例も少なからずあります(風不死岳事件の生存者。本チャンネル登山動画の樽前山を参照)。
『樽前山登山』
使用音源:晩夏の里川の焚き火音
#大千軒岳 #クマ #北大生